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【特集】
創刊20年 今こそ問う! 水田農業イノベーションと農村経営者
- 編集部
- 2013年04月12日
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そして、第二声はこれだった。
「この小さな雑誌は、「農業経営者」を読者としたい。経営規模の大小でも、売上規模の大きさでもない。永続性のために未来へ投資をし、それに汗をかくことをいとわぬ「土を信じる者」と呼びうる人びとのことである」
今もこの思いは変わらない。このことを念頭に置きながら、本誌は時代の変化の中で新しい経営のあり方を問いかけたい。端的に言えば、それは「水田農業イノベーション」と「農村経営者」である。詳しくは次ぎのページから始まる特集をご覧いただきたい。世相に応じて農業と農村に求められる事物は移ろうも、本質は何も変わっていないのである。(取材・まとめ/編集部)
創刊20年の辞 編集長・昆吉則
本誌は1993年5月28日の創刊から今月号で20周年を迎える。まずは、発刊を支えてくださった読者および関係者の皆様に御礼を申し上げる。これから本誌が読者とともに歩んできた歴史を振り返りつつ、日本農業と農業経営の未来を考えてみたい。
多くの農業関係者が語る農業保護の論理の基本にあるのは、経営規模、圃場規模が小さいから海外に負けるという敗北主義である。だから「国境に壁を立て日本農業を守れ」と叫び続ける。本誌はそれを農業界の“利権化した敗北主義”であると断じてきた。負けるという前提があってこそ保証される利権に執着しているに過ぎないからだ。そもそも、なぜ「負ける」と決めてかかるのだろう。筆者はこの20年間の読者との出会いの中で、日本の農業や農村であればこそ大きな可能性があると確信した。
前の自民党政権時代に同党農林部も納得した形で、「経営所得安定対策」と「コメ政策改革大綱」がセットで策定された。しかし、水田経営の構造政策とコメ流通へのマーケットメカニズムの導入を目指す政策は、その後の政変でなし崩しとなり、あらためて現在のバラマキと官主導の減反政策へ逆戻りしてしまった。とは言え、政策による誘導とは関係なく、日本の農業の中では確実に農業経営者階層の果たす役割が明瞭になってきている。
図1を見ていただきたい。これは2010年センサスの中にある「販売金額規模別農家数」のデータを本誌で加工した図である。
公表されているセンサスでは、上段の規模別の農家数だけが公表されており、それだけを見ると“農家がいかに貧しいか”を印象付けるものになってしまう。
そこで本誌では、各販売金額階層の戸数とその層の中点の金額を乗じた額で、その階層の全体の中でのシェアを出している。上下の図を見比べると、「販売農家」と言われる農家層のうち、約6割は販売金額100万円未満、200万円未満にしたら7割強に達している。その階層は農業をすればするほど赤字を出している農家であるとも言える。
一方、販売金額が1000万円以上の農家は全体の8%にも満たない数だが、販売農家全体の販売額の6割を生み出している。
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